エリザベス女王一周忌 ~晴れやかな帽子スタイル~

ライターPOINT DE VUE JAPON 編集部
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

9月7日、一周忌を迎えられたエリザベス女王陛下。あらためて哀悼の誠を読者と共に捧げます。その色褪せぬ数々の功績、多くの人々から支持された生き方をご紹介します。
今回はエリザベス女王の晴れやかな帽子スタイルを振り返ります。

Embed from Getty Images

常に英国君主としてふさわしいよう、洗練された装いで式典や外交にあたられたエリザベス女王。公務の動向は随時報道され、とりわけ華やかなファッションは世界中の注目の的でした。伝統と格式を重んじながらも現代的な雰囲気を醸し出す、鮮やかな色使いで演出されるそのお姿には、立場に伴う威厳を最大に表すことを第一とされていることがうかがえます。

Embed from Getty Images

このような衣装製作に携わるデザインや工程には、仕立ての良さはもちろんのこと、着る人を引き立て、その場に相応しいものとするための厳しいルールが要求されます。天候や訪問先への配慮、またご公務に同行されるフィリップ殿下に合わせた配色や小物使いまで、 多岐に渡る入念な計画と細心の注意が払われていると言われています。

エリザベス女王は衣装に合わせたお帽子で周りを魅了されていました。その帽子の魅力を探ってみましょう。ファッションのメインはやはり洋服。次に靴やバック、アクセサリーなどの小物がきて帽子は一番最後。被られる方を主張し、コーディネートの一体感を決め最大限に引き立たせる重要な要素、フィニッシュなのです。

Embed from Getty Images

女王は大変小柄ですがその風格に相応しいシルエットは全体を大きめに構成されています。 クラウン(帽子の上の部分)は高く、プリム(つばの部分)は、お顔が隠れないよう少し反り返して柔らかな印象を与えています。お召し物とのバランスはもちろんのこと季節や手袋の色との組み合わせ、お手元のブーケまで、飾り過ぎない魅せ方まで考慮されています。

❶ 共布の紫をトップに配し、ブリムはエッジを少し折り返したフォルム。黒の広めのつばはラフィアの透け感で軽やかさを演出しています。全体のフォルムと配色のボリューム、そして素材感とのバランスは流石です。

❷ カジュアルになりがちなストローハットも、材質の風合いを生かした直線形のデザインで型入を行い、仕事が施されるとこんなにもフォーマルなものになります。

❸ ロイヤルブルーのトーク。フロントが高めのフォルムで、光沢のあるベルベット地が、格式の高さと上質感を引き立たせ、絶妙な一体感を表しています。

❹ ミモザ色の柔らかな装い。つばの内側に白いラフィアを置いて透明感を与えています。この配色で膨張して見えないのは帽子の箱形のラインが色の広がりを抑えすっきりとした印象に仕上げているからです。

❺ 冬のこのトーク帽はクラウンを大きく高さをもってきています。縦からと横からの黒い革のラインは全体を引き締めその大きさを感じさせない効果的で絶妙なアクセントになっています。

❻ 何とも存在感漂うドレッシーなシルエット。光沢あるシルクサテンでドレープを施し、エッジをパイピングして重厚な雰囲気を醸し出しています。

❼ エメラルドグリーンに差し色の黒い革素材を直線的に置き、オーストリッチの羽根の芯でシャープなラインを加えています。左右不対象に反り上げたプリムは、角度によって異なる表情を捉えます。

❽ お顔を優しく包み込むようなファー。どんな素材もフォルムも女王の品格の高さを損なうことなく、随所に英王室のトラッドな普遍性を感じさせます。

❾ 髪の色やピアスのパールも含めた色の統一感、素材とフォルムの計算しつくされた立体的な陰影が、あいまいになりがちな単色での装いを華やかに演出しています。

(Visited 37 times, 1 visits today)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP