日本の女性皇族は、結婚したら皇室を離れ「民間人」となります。今の女性皇族でいえば、上皇天皇の長女・黒田清子さんと、秋篠宮殿下の長女・小室眞子さんが結婚により皇室を離脱されました。
民間人になると、その後の生活というのはがらりと変わってしまうものなのでしょうか?
ここでは、女性皇族の結婚後の生活の変化はどうなるのか?結婚相手の条件・現在の女性皇族の人数などを解説いたします。
女性皇族は結婚して皇室を離れるとどうなるの?
女性皇族が結婚して民間人=一般国民になるとどうなるのか?ここでは、「親戚付き合い」・「結婚後の仕事」の2点について解説いたします。
親戚付き合いについて
女性皇族の結婚後の親戚付き合いについては、今の上皇皇后・美智子様のご結婚後は、美智子様のご実家との付き合いは控えられていたという情報もあります。
しかし、上皇皇后の長女・黒田清子さんは結婚前に車の普通免許を取得なさり、吹上地区にあった御所にお1人で運転して上皇様と美智子様の話し相手をされていたようです。
このようなことから、現在の女性皇族の結婚後は自由にご実家への出入りはできるようです。それにより、新年のあいさつやお誕生日の祝賀会などにも元皇族として、旦那様とご一緒に参加もします。
時代と共にこうした点は変化があったのかも知れません。
結婚後の仕事について
女性皇族の仕事については、現在メディアでも「総裁」・「名誉総裁」といった言葉を聞くことがあるでしょう。
現在、秋篠宮殿下の次女・佳子様も、『公益社団法人日本工芸会総裁』に就任されています。この就任には、宮内庁の慎重な判断と女性皇族ご本人が、その団体の活動に賛同して協力したいという意向があって就任が決定されました。
これまでは女性皇族が独身時代、つまり皇族の1員であったときに、されていたそうした総裁職・名誉総裁職などは結婚と同時に、辞されるのが基本のようです。
ところが、過去の女性皇族のある行動からこれまでのしきたりに変化が現れたのです。それは、平成30年に高円宮家の三女・守谷絢子様がそれまでされていた日加(日本カナダ)協会と日本海洋少年団連盟の名誉総裁を務められていたことから始まりました。
これまでの皇族のならわし通りなら、結婚後この名誉総裁の職を辞することになっていましたが、絢子様のご熱心な名誉職の継続の意向から結婚後も続けられることとなったのです。
これは当時の皇室としては画期的な出来事でした。このようなことがあってから、間違いなく皇室には新しい風が吹き、秋篠宮家の次女・佳子様のときにも、恐らく結婚後、宮内庁の慎重な判断と佳子様ご本人の要望があれば、存続されることは十分にあり得る話になります。
皇室を離れた後の生活の変化
女性皇族が皇室を離れると、その後の生活の変化はなにがあるでしょうか?
現在の女性皇族が公務に行かれる際に、テレビのニュースなどでよく見受けられる光景を思い出してみてください。
- 警備がつかなくなる
- 送迎がなくなる
以上の2点を詳しく解説しましょう。
警備がつかなくなる
女性皇族が結婚すると、これまで公務などの際にお出かけするときは必ずSPと呼ばれる警備がついていました。
しかし、皇室のならわしとしては結婚し一般国民になったらもう皇族ではないため、これまでついていた警察による警備は基本つかなくなります。このあと紹介する「送迎」も同じです。
黒田清子さんの場合、結婚後はまだ皇室を離れて間もないことから結婚後もしばらくは警備が付いていたといいます。
現在は、清子さんが1人で運転されるようになったこともあり警備は付いていません。小室眞子さんは結婚後アメリカに移住しましたが、まだ警備は付いているような報道がありました。
事実か否かは現在のところはっきりしたことは分かっていませんが、お2人が生活する建物の前をよく通る人は「警備の姿を見たことがない」そうです。
現在は、警備はなくなっているのかも知れません。
送迎がなくなる
基本的には女性皇族は結婚すると一般人となり、それまでついていた送迎もつかなくなります。
黒田清子さんの場合がそうでした。送迎は初めからなかったでしょう。
小室眞子さんの場合も婚約から結婚まで3年を要し、かなり話題になったことから結婚後もしばらく送迎はなかったようです。
女性皇族が結婚する時に払われる「一時金」
女性皇族は、結婚すると国から一時金が支払われます。これは「皇室経済法」に規定されていることで、目的は「元皇族の品位保持」です。
では、この一時金はどうやって決められるのか?また、一時金を断った女性はいるのか?について解説します。
金額はどうやって決める?
その一時金の限度額は1億5千万円を上限としています。正式に支給される額を決定するのは首相や財務省が皇室経済会議を開いて決定されるのです。
話題になった小室眞子さんについては、これまでの皇室には異例ともいえる一時金が支払われないことになったことも記憶に新しいところでしょう。
「納采の儀」なども行われなかったことから、皇室ではかなり異例中の異例だったものです。
一時金を断った女性はいる?
女性皇族が結婚するとき、国から一時金を受け取るのがこれまでのならわしでしたが、その受け取りを断った女性はいるのでしょうか?
実は一時金の受け取りを断った・辞退したのは、小室眞子さんが初めてです。それまで皇室経済会議でも、辞退された前例がありませんでした。
小室眞子さんは、結婚したときに行われる「納采の儀」も執り行わなかったことで、皇室として初めての出来事だったのです。
女性皇族の結婚相手に条件はある?
女性皇族の結婚相手に条件があるのでしょうか?皇室に関する法律の「皇室典範」に書かれているのは、以下の通りです。
『第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる』とされています。
これ以上の条例はありません。
しかし、話題になった結婚だった場合はどうしても結婚相手の職業・年収・学歴などに興味を引かれるでしょう。
ここからは、これまで皇室を離れた女性皇族の結婚相手の職業・年収。学歴などを見ていきます。
結婚相手の職業や年収
結婚して皇族でなくなる以外に決まりがないので、一般男性でも良いことということになります。
しかし、皇族出身の女性と結婚となれば一般人とはいえ、それなりの男性でないといけないと思えますね。
皇后陛下・雅子様や秋篠宮家・紀子様は民間から皇室に嫁いだので、この場合は逆です。となると皇室から一般人になった黒田清子さんがこれにあたります。
実は、「皇室典範」制定後、黒田清子さんが初の皇族以外の男性と結婚しました。黒田清子さんの夫・黒田慶樹(くろだ よしき)さんの結婚当初の職業と年収を見てみましょう。
- 職業:2005年結婚当初は、『東京都都市整備局』勤務
- 年収:推定500万円以下
結婚目前報道では、月給が推定35万円~39万円とされています。その上で35万円としても年収は420万円、39万円では年収468万円です。
いずれにしても年収500万円以下ということですが、次は学歴を見ていきましょう。
結婚相手の学歴
黒田慶樹さんの学歴は、1972年に学習院初等科に入学されています。そのとき、清子さんの兄・秋篠宮殿下(文仁親王)とは初等科のころからのご学友でした。
その後、高等科に進まれたときも秋篠宮殿下とは写真部・地理研究会と、大学も自然文化研究会などでご一緒だったそうです。
それだけに秋篠宮殿下には、サラリーマン家庭の黒田さんの人柄がよく分かっておられるので、清子さんとも結婚の運びとなったのでしょう。
結婚によって皇族ではなくなるのは日本だけ?
女性皇族が皇族以外の者と結婚すると、皇族ではなく民間人になるのは日本だけなのでしょうか?
これまで再々使われた「皇室」という言葉ですが、アメリカなど欧米ではそもそも「王室・皇室」がありません。
アメリカでは「すべての人は平等」という概念であるため、日本のように皇族と民間人と分け隔てた呼び方・概念がないのです。
それだけに「皇室の女性が結婚して民間人になった」というと、アメリカでは違和感があるかも知れません。
従って「結婚によって皇族ではなくなる」というのは、日本だけの考え方であり、決まりであるといえます。
現在の皇室にいる女性皇族の人数は?
小室眞子さんが未婚のときを含めると6人で、小室眞子さんが結婚後、皇室の未婚の女性皇族は5人となりました。皇族数全体では、17人になっています。
ここでは、「皇族として生まれた女性の人数」・「結婚により皇族となった女性の人数」を見てみましょう。
皇族として生まれた女性の人数
皇族として生まれた女性の人数には、既に皇室を離脱された黒田清子さんや小室眞子さんも含めてみます。
昭和天皇の代から数えると、7人でした。内訳は以下のようになります。
- 三笠宮寛仁親王の長女・彬子女王殿下
- 三笠宮寛仁親王の次女・揺子女王殿下
- 高円宮憲仁親王の長女・承子女王殿下
- 上皇陛下(明仁)の長女・黒田清子さん
- 天皇陛下(徳仁)の長女・愛子内親王殿下
- 秋篠宮文仁親王の長女・小室眞子さん
- 秋篠宮文仁親王の次女・佳子内親王殿下
これで、計7人です。ここから、黒田清子さんと小室眞子さんが抜けましたので、5人となったわけです。
結婚により皇族となった女性の人数
今度は、結婚により皇族となった女性の人数です。やはり昭和天皇の代からの人数を見てみましょう。
- 昭和天皇・香淳皇后
- 秩父宮親王妃・勢津子
- 高松宮親王妃・喜久子
- 三笠宮妃三笠宮妃・百合子殿下
- 三笠宮寛仁親王妃・信子殿下
- 高円宮憲仁親王妃・久子殿下
- 上皇陛下皇后・美智子上皇后
- 天皇陛下(徳仁)・雅子皇后陛下
- 秋篠宮文仁親王妃・紀子妃殿下
以上で、9人です。
女性皇族が担う大きな役割とは
女性皇族の役割は、天皇陛下の公務などさまざまな活動をサポートすることです。
20歳で成年を迎えると、皇室の伝統行事である歌会始や各国からお招きしたご来賓の方々をおもてなしします。
その際、とても気品のあるドレスやティアラを付けて参加するので、それだけでもその場がグンと引き立てられます。
テレビのニュースなどでも、ご来賓をお招きして晩餐会などの様子を見ることがあると思いますが、綺麗にドレスアップして本当に美しい様子が見受けられました。
世界の王室についてもっと知りたいなら
本来は、世界でも日本でも「王室」・「皇室」・「皇族」・「民間人」といった区別はないものと思われます。
しかしテレビなどでは分かりやすく説明するために、そのような言葉を用い、さまざまな情報をお伝えしているのではないでしょうか。
格式高く、とても厳しくて大変な世界と感じますが、アメリカなどのように「すべての人は平等である」という考えで見ると、少しおくがましいかも知れません。
しかし皇室の方々と共に世の中を繋いでいき、ご自身も幸せな結婚生活ができることをより多くの人が望んでいます。