世界で最も有名な王室でもあるイギリス王室ですが、イギリス王室がどのように運営されているかを知っている方は多くないのではないでしょうか。
日本の皇室の運営費は国民の税金から「皇室費」として捻出されます。それに対して、イギリス王室の運営費はどのように捻出されているのでしょうか。
本記事では、イギリス王室の収入からその使用用途など、イギリス王室の財源について詳しくご紹介していきます。
ぜひ本記事を参考に、イギリス王室への理解をより深めてください。
イギリス王室の収入源が気になる!
Embed from Getty Imagesイギリス王室の収入源にはどのようなものがあるのでしょうか?
結論からお伝えすると、イギリス王室の収入源はイギリス王室が所有している不動産の利益から賄われています。
イギリス王室はイギリス最大の不動産事業ともいわれるほど、不動産から大きな利益を得ていることで有名です。
また、それだけでなく個人でも別で収入があり、イギリス王室は様々な財源を抱えています。
本記事では、そのひとつひとつに迫っていきますので、ぜひ最後まで目を通していただければと思います。
イギリス王室は税金で運営されている?
イギリス王室は国民からの税金ではなく、独自で持っている収入源から運営されています。
日本の皇室では国家予算から算出され、国民の税金で賄われていますが、イギリス王室は独自の収入源を持っています。
イギリス王室ではその独自の収入源を使って運営されているため、基本的には税金で王室を運営することはありません。
ですが、ときには税金を使用して王室の運営を行うこともあります。
例えば、イギリス王室の公務を行うバッキンガム宮殿の改修工事が2017年から始まりました。
この改修工事には約3億6,900万ポンド(約620億円)がかかるとされており、その費用は税金から賄われるそうです。
このように、時には税金を使用して公務を行う場合もあります。
メインは「王室助成金」
イギリス王室のメインの収入源は「王室助成金」です。王室助成金とは、イギリス王室の公務を支援するために政府によって支払われるものになります。
実際には後述するクラウン・エステート(イギリス王室が所有する不動産)の収入から得られる利益の一部がイギリス王室に支払われる仕組みです。
クラウン・エステートの収益の大部分は政府に直接流れますが、約15%は王室助成金としてイギリス王室に与えられています。
国王所有の不動産「クラウンエステート」とは?
クラウン・エステートとは、イギリス国王や女王の私有財産ではなく、王室が公式に所有する土地や建物などの不動産のことです。
クラウン・エステートには以下のようなものがあります。
- ランカスター公領
- コーンウォール公領
- バッキンガム宮殿
- サンドリンガル・ハウス
- ケンジントン宮殿
- バルモラル城
- ホリールード宮殿
- セント・ジェームズ宮殿
- ウィンザー城
- クラレンスハウス
イギリス王室はクラウン・エステートで資産額としては約143億ポンド(約2兆226億円)の価値があるといわれており、年間約2億ポンド(約326億円)もの収益を上げているそうです。
なお、クラウン・エステートはロイヤルファミリーではなく独立した委員会によって運営されています。
公領からの収入
イギリス王室では王室が公式に保有するクラウン・エステートの他に、公領からの収入も得ています。
一般的にはクラウン・エステートの一部として認識されていますが、所有者はイギリス王室ではなくエリザベス女王やウィリアム皇太子が100%個人で保有する領地となっています。
公領は商業施設や農地など、様々な目的で利用されており、莫大な資産価値を誇ります。
バッキンガム宮殿も資産のひとつ
クラウンエステートには、イギリス王室のメンバーが公務を行うバッキンガム宮殿も含まれています。
バッキンガム宮殿は1703年にバッキンガム公が建てた館を、1760年頃に国王であったジョージ3世が買い取ったことで、イギリス王室保有の不動産となりました。
その後、王位を継いだジョージ4世が全面的に改修を行い、12年の月日を経てバッキンガム宮殿として完成したとされています。
バッキンガム宮殿は1992年から一般公開されており、その見学費用はクラウンエステートの収益の一部としてイギリス王室の運営に貢献しています。
王族が持つ「公領」って何?
イギリス王室の収益のひとつとして「公領からの収入」についてお伝えしましたが、公領がいったいどのようなものなのか、しっかりと理解している人はそう多くはないかもしれません。
ここからは、イギリス王室のメンバーが保有する公領についてご紹介していきます。
イギリス王室のメンバーが保有している公領は以下の2つです。
- ランカスター公領
- コーンウォール公領
ここからは、上記2つの公領についてお伝えしていきます。
公領とは?
そもそも公領とはいったいどのようなものなのでしょうか?
公領は「公爵または女公爵、公爵夫人の領地」という定義がされており、イギリス王室ではランカスター公領とコーンウォール公領は代々王室メンバーが受け継いでいます。
しかし、基本的には「皇太子の領土」とされることが多く、それはイギリス王室も例外ではありません。
後述しますが、コーンウォール公領はチャールズ3世が100%保有しており、チャールズ皇太子は公領から多くの収入を得ています。
ランカスター公領
イギリス王室のメンバーが保有する公領として、ランカスター公領があります。
ランカスター公領は代々イギリス国王が所有している公領で、毎年約2億円もの収益を上げている不動産です。
クラウン・エステートのひとつと紹介されることが多いですが、実際にはエリザベス女王が所有していたため、クラウン・エステートとは別に管理されているのが特徴です。
ランカスター公領はイングランドとウェールズにまたがる土地で、18,433haの面積を誇ります。
都市開発や歴史的建造物、商業施設で構成されており、年間の収益としては約2,000万ポンド(約30億円)といわれています。
コーンウォール公領
コーンウォール公領はチャールズ3世が100%保有していた領地で、現在はウィリアム皇太子に引き継がれた領地です。
農地や森林、住宅用不動産や商業施設を含んでおり、その価値は約3億4,500万ポンド(約560億円)とされています。
ランカスター公領やコーンウォール公領は資産を売却して個人的な利益を得ることは認められていませんが、年間の利益は莫大なものとなっています。
チャールズ国王の資産
Embed from Getty Images2022年9月8日にエリザベス女王が崩御したことにより、チャールズ国王は新たなイギリスの君主となりました。
これにより、エリザベス女王が保有していた資産はチャールズ国王に相続され、チャールズ国王が保有していたコーンウォール公領はウィリアム王子に引き継がれることになります。
ここからは、エリザベス女王の逝去による資産の相続について詳しくご紹介していきます。
コーンウォール公領はウィリアム皇太子へ
Embed from Getty Imagesチャールズ国王が保有していたコーンウォール公領はウィリアム皇太子へ引き継がれることになりました。
チャールズ国王はコーンウォール公領から年間2,000万〜3,000万ドルの収益を得ていましたが、現在はウィリアム皇太子が保有しています。
ランカスター公領を引き継ぐ
エリザベス女王が崩御したことにより、エリザベス女王が保有していたランカスター公領はチャールズ国王が引き継ぐことなりました。
コーンウォール公領はウィリアム皇太子に引き継がれましたが、代わりにランカスター公領を得る形になり、チャールズ国王の資産はより莫大なものとなっています。
エリザベス女王から引き継いだ資産
Embed from Getty Imagesチャールズ国王はランカスター公領だけでなく、エリザベス女王が保有していた個人資産も引き継ぎました。
ランカスター公領を含む不動産や美術品などの遺産は総額で約3億7,000万ポンド(約600億円)ともいわれ、イギリス王室は政府から財政的に独立した立場を目指しています。
イギリスでは君主から直系の君主に資産が相続される場合、相続税が免除される仕組みがあるため、エリザベス女王からチャールズ国王へ引き継がれた資産への相続税は免除となっています。
その他の王室メンバーの収入源は?
王室メンバーの収入源はクラウン・エステートから得られる王室助成金だけではありません。
エリザベス女王が個人で保有しているサンドリンガム・ハウスやスコットランドにあるバルモラル城も収入源のひとつです。
これらもクラウン・エステートとまとめられることが多いですが、保有者はエリザベス女王のため、女王個人の収入といえるでしょう。
他に競馬場のオーナーとしても成功しており、クラウン・エステート以外でも莫大な収入を得ています。
さらにザ・ロイヤル・コレクションや車、ジュエリーコレクションなど様々な資産を保有していました。
これらの資産も、エリザベス女王が崩御した後は、チャールズ国王に引き継がれています。
イギリス王室の収入は何に使われる?
王室助成金はロイヤルファミリーの公務・基本的な維持費・プレス対応・警備・王室メンバーの旅費などに使用されます。
他にもバッキンガム宮殿やウィリアム皇太子夫妻が済むケンジントン宮殿など、建物の維持や改修工事のために使用されます。
2016年にはバッキンガム宮殿の大規模な改修工事が始まり、改修工事にかかる費用は3億6,900万ポンド(約526億円)にものぼるそうです。
世界で最も裕福な王室は?
Embed from Getty Imagesこれだけ多くの収入を得ているイギリス王室ですが、さらに多くの収入を得ている王室はたくさんあります。
世界で最も裕福な王室といわれているのはタイのラーマ10世であり、総資産は440億ドル(約5兆9,688億円)ほどです。
「ザ・ゴールデン・ジュビリー」という545カラットの世界最大のダイヤモンドを保有していることでも有名です。
世界の王室についてもっと詳しく知りたいときは…
本記事ではイギリス王室の収入や使用用途、イギリス王室の資産についてご紹介してきました。
イギリス王室の収入は税金ではなく不動産という事実を初めて知った方も多いのではないでしょうか。
本サイトでは、このように世界の王室に関する様々な情報をまとめています。
もちろん、イギリス王室だけでなく日本の皇室や、それ以外の世界中の王室のことを知ることができます。
もしも世界の王室に興味があれば、ぜひ本サイトを隅々までご覧くださいね。