2022年9月8日は、英国にとって忘れがたい日といえるでしょう。
その日、実に70年の間英国の女王の座にあったエリザベス2世が崩御し、チャールズ皇太子が国王として即位しました。
英国だけでなく世界中の人に愛された女王の国葬を、テレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
そこで気になるのが英国の王位継承順位です。エリザベス女王の長男であるチャールズ3世新国王のほかに、英国国王の王冠を戴く可能性がある王族は何人いるのでしょうか?
英国国王の継承順位を、ここでおさらいしてみましょう。
現在の英国王室の継承順位は?
現在の英国王室の継承順位はどうなっているのでしょうか。それを知るために、まずは「1701年王位継承法」という法律について解説しましょう。
1701年王位継承法とは、英国の王位継承権順位についてのルールを規定した法律です。部分的に改定が行われたことはありますが、基本的な枠組みは変わっていません。
その法律で定められた王位継承権保持者の条件とは、まずスチュワート家の血統であること、そしてキリスト教プロテスタント信者であることです。
後者の「プロテスタントでなければならない」という言葉は私たちにはなじみが薄くわかりにくいかもしれません。
この法律が成立する少し前は、宗教革命の時代でした。カトリック派とプロテスタント派が激しい争いを繰り広げ、最終的に政治の実権を握ったのはプロテスタント派でした。
イングランドはプロテスタントの国となり、カトリック教徒は王位継承権から排除されることになったのです。
宗教の自由を憲法に謳う日本の国民には、「カトリック禁止」というのは理不尽と感じるかもしれません。しかしこのルールは現在も変わらず続いています。
現在の英国王室の血統は、ハノーファー選帝侯妃ゾフィーを祖先としているため、ハノーファー(英語の発音ではハノーヴァー)家といわれています。
ゾフィーはスチュアート朝の王ジェームズ1世の孫で、ハノーファー選帝侯の妃としてドイツに住んでいました。本来なら、彼女の王位継承順位は決して高くはありませんでした。
しかし当時の国王は代々実子がなく、また生存している王族の中にはカトリック信者も多かったため、結局直系子孫ではないゾフィーが王位継承権1位になったのです。
やがて息子のゲオルグ・ルードヴィッヒがジョージ1世として即位し、ハノーファー王朝が始まります。現国王チャールズ3世はハノーファー家から出た12代目の国王です。
まとめると王位継承優先順位は、ハノーファー選帝侯妃ゾフィーの子孫であり、なおかつカトリックではない者のうち現国王の直系第一子を先頭にして順に下の世代へと下っていくことになります。
なお、継承順位に性別は影響しません。男性女性にかかわらず、年齢で順位が決定します。それについては後ほど詳述することにしましょう。
王位継承権を持つ王室メンバーを一挙紹介!

1701年王位継承法によれば、ハノーファー選帝侯妃ゾフィーの子孫でありさらにプロテスタントであれば、誰でも王位継承権を持つことになります。
かなり遠い親戚に至るまで王位継承権を持つことになり、実際に王位継承権を保持する者は現在500人近く存在するといわれています。
その膨大な人数の中から、注目したい王室メンバーを一挙ご紹介しましょう。
ご存知のように現在の王位継承順位トップは現国王チャールズの2人の息子とその子供たちです。ウィリアム王子とヘンリー王子については項を改めて詳しく述べますが、それでは彼らに続くのは一体誰なのでしょうか。第8位以下を見てみましょう。
王位継承順位第8位の方は、ヨーク公アンドルー王子です。アンドルー王子はエリザベス女王の次男、つまりチャールズ国王の弟で、その子供と孫がそれぞれ継承順位9位から12位を占めています。
継承順位13位はウェセックス伯エドワード、エリザベス女王の三男です。一男一女があり、それぞれ継承順位14位と15位になっています。
16位はエリザベス女王の長女アン王女です。アン王女には子供2人と孫5人がおり、この一家で王位継承順位23位まで決まっています。
ここでエリザベス女王の子供たちの血統が全員終わりました。王位継承順位は今度はエリザベス女王の妹マーガレット王女の血統へ移動します。
マーガレット王女直系の子供と孫で29位までが決まり、30位から先はどこへ行くかというと、エリザベス女王のいとこに移ります。エリザベス女王の父ジョージ6世の弟ヘンリー王子の息子リチャード王子がその人です。
さらにその子供、孫へと継承順位は下っていきますが、ここまで離れるとかなり遠い親戚といっていいでしょう。現国王から見ると母のいとこの孫という続柄になり、ここまで遠くなると王位を継承する可能性はかなり低くなります。
その後、王位継承順位はエリザベス女王のいとこたちとその子孫につながっていきますが、王室内でたどれるのは62位までです。63位から先は、王室を飛び出し一般市民に移ってしまいます。
また、面白いことに「王室」といってもそれは英国王室のことだけを指すわけではありません。
政略結婚が多く行われたヨーロッパ諸国では、王族の子孫もあちこちの外国の王室に残っているのが特徴です。
たとえば、現スウェーデン国王カール16世グスタフは、さかのぼると曾々祖母が英国女王ヴィクトリア1世なので英国の王位継承権保持者になります。
また、カール16世グスタフのいとこにあたるデンマーク女王マルグレーテ2世も、同じように王位継承権を持っています。
この北欧2国に加え、もう1つの北欧の国ノルウェーの現国王ハーラル5世もまた別の家系で英国王室とつながっており、やはり王位継承権保持者です。
なんと北欧3国の王は全員英国の王位継承権を持っていることになります。
北欧だけではありません。大陸でも、ヴィクトリア1世の子孫になるギリシャ王家やジョージ2世の血統であるオランダ王室などが同様に王位継承権を持っています。
一国の王(または女王)でありながら他国の王位継承権も持っているというのは興味深い話です。
いずれの国も「ご先祖様」までさかのぼるほどで王位継承順位はかなり低く、二国の王を務める可能性はほぼありえません。とはいえ「スウェーデン国王兼英国国王」を想像してみるのもまた楽しいものです。
第1位ウィリアム皇太子
Embed from Getty Images現在の王位継承順位第1位は、ウィリアム皇太子です。チャールズ皇太子(当時)とダイアナ元妃の長男で、国民からの人気も高く未来の国王として期待されています。
なお日本語では皇太子とされることが多いのですが、イギリスは王国なので正しくは王太子です。
経歴
真面目で落ち着いたイメージの通り、ウィリアム皇太子の経歴は堅実です。
公立の小学校に通い、著名なパブリックスクールのイートン校を経てセント・アンドルーズ大学に進学しています。
大学では優秀な成績を修め、またイギリス王室の習いとして軍にも入隊しました。
キャサリン妃と結婚した時も軍に所属しており、結婚式にはアイルランド近衛連隊の軍服で臨んでいます。
キャサリン妃と結婚
Embed from Getty Images2011年にウィリアム皇太子はキャサリン妃と結婚します。
2人は学生時代に出会い、交際を続けてきました。結婚までに10年の月日が流れたことが、2人の交際が真剣なものであったことを物語っています。
英国でも久々となるロイヤルウェディングは世界中に中継され、多くの人が2人を祝福しました。
3人の子供がいる
Embed from Getty Imagesウィリアム皇太子とキャサリン妃の間には、現在3人の子供がいます。
長男のジョージ王子・長女のシャーロット王女・次男ルイ王子の2男1女で、3人はそれぞれ王位継承権を持っています。
ウィリアム皇太子の子供も継承権を持つ

前述の通りウィリアム皇太子の3人の子供は、それぞれ第2位・第3位・第4位の王位継承権保持者です。
父のウィリアムが長子であるため、その子供は将来皇太子となることが確実です。
第2位ジョージ王子
Embed from Getty Imagesウィリアム皇太子の長男ジョージ王子は2013年に生まれました。長子が家を継ぐ制度に従い、王位継承順位は父に次いで第2位となっています。
将来ウィリアム皇太子が国王に即位すれば、王位継承順位は繰り上がって1位になります。父の場合と同じく皇太子と呼ばれることになるでしょう。
第3位シャーロット王女
Embed from Getty Images続く第3位は、一家の第2子であり唯一の娘であるシャーロット王女が保持しています。
シャーロット王女は2015年に生まれました。
古い法律では年齢にかかわらず男子が王位継承順位の上位となりますが、シャーロット王女には2013年王位継承法が適用されてこの順位となっています。
女性王族の中では王位継承順位トップです。
第4位ルイ王子
Embed from Getty Images現時点で一家の末っ子であるルイ王子は、2018年に生まれています。王位継承順位は姉のシャーロット王女に次いで第4位です。
やんちゃなルイ王子は、英国王室が公表するファミリーフォトでも大人気です。
第5位ヘンリー王子
Embed from Getty Images現国王チャールズの次男ヘンリー王子は、王位継承順位第5位の人物です。
近年のイギリス王室で、ヘンリー王子ほど話題になった人もいないでしょう。
兄であるウィリアム皇太子とは対照的に陽気で衝動的な性格で、突然王室を離脱するなど破天荒な行動で国民を驚かせています。
経歴
兄と同じくイートン校を卒業したものの、成績は兄のように良くはなかったそうです。
その後社会奉仕などの活動を行った後、サンドハースト軍士官学校に入学しています。卒業後は陸軍に入隊し、実戦にも参加して話題になりました。
その後、王室を離脱するとともに国の責務からも離れ、軍事を含む英国国内での活動を停止しています。
メーガン妃と結婚
Embed from Getty Images元女優という異例の経歴とその美貌で国民を驚かせたメーガン妃は、ヘンリー王子と2018年に結婚しました。
メーガン妃を王室に迎えるにあたり、ヘンリー王子より3歳年上で離婚歴もあったことから反対の声も上がりましたが、2人は反対を押し切って結ばれました。
センス抜群の彼女の服装は、どこにいても話題になります。英国のファッションリーダーとしての務めも果たしているようです。
2人の子供がいる
ヘンリー王子夫妻には1男1女がいます。両親がアメリカに移住しているため、子供たちもアメリカで育ちました。
親の意向でマスコミに姿を見せることはありませんが、英国王室を介して消息を知ることができます。
ヘンリー王子の子供も継承権を持つ

ヘンリー王子夫妻は2020年に公務を引退し、王室を離れました。しかし離脱後も王位継承順位は変わらず、2人の子供にも王位継承権があります。
第6位長男アーチ-
Embed from Getty Imagesヘンリー王子とメーガン妃の第1子は2019年に生まれました。それが長男のアーチーです。
彼の王位継承順位は父親のヘンリー王子の次、第6位になります。
第7位長女リリベット
2021年に誕生した2人の娘リリベットは、幼いながらもプリンセスの称号と王位継承順位第7位を保持しています。
風変わりな名前は、曾祖母のエリザベス女王が幼い時に自分の名前を上手く発音できなかったことに由来しているそうです。
英国王室には女性にも王位継承権がある
英国は女王の国というイメージがあります。実際に歴史の中で何度も女王を輩出してきました。
立憲君主制の国はいくつもありますが、こんなにも女王を戴いてきた国はほかにありません。
そんな英国でも、相続の基本は男子が優先的に家を継ぐ長子相続制でした。
年齢よりも性別が重視されるこの制度の下では、最年長の子が女子であってかつ男の兄弟がいた場合は、年長の姉を飛び越して弟が家を継ぐことになります。
しかし「2013年王位継承法」では、その規定が覆りました。
すでに触れたように、英国の王位継承順位については1701年王位継承法で規定されていますが、その改正版が「2013年王位継承法」です。
この法の下では王位継承権は現国王の直系の子に順に譲られ、その際には性別は考慮されません。つまり、年齢が上であれば王位継承順位で姉が弟より上に来るということです。
英国王室では女性にも男性と同じように王位継承権があるといえます。これが2013年王位継承法の大きな改正点です。
なお、2013年王位継承法にはもう1つ大きな特徴があります。それは、これまで禁止されてきたカトリック教徒との結婚が許されたということです。
1701年王位継承法では王位継承権保持者は夫婦ともにプロテスタントであることが求められていました。
カトリックのパートナーと結婚することは、すなわち王位継承権を失うことを意味していたのです。
このルールも、2013年王位継承法によって撤廃されました。
カトリック教徒との結婚が自由になり、また過去にこのルールによって王位継承権を失った王族も、再び王位継承権が与えられるようになっています。
ただし王位継承者本人がプロテスタントでなければならないというルールは変わりません。
世界の王室を詳しく知ろう!
英国の王位継承順位について解説しました。
昔から相続は難しい問題です。まして王権の移譲となれば、一国の大事ですからそこには相当な葛藤があったことでしょう。
それにもかかわらず、英国王室は1701年に決められた王位継承法を現代まで守り続けてきました。
それは伝統ある英国王室だからこそ、守ってこられたものなのかもしれません。
ヨーロッパには、英国の他にも長い伝統を誇る王室があります。ヨーロッパだけではありません。アジアやアフリカ、中近東諸国などにも歴史ある王室が存在しています。
もちろんわが国の皇室も長い歴史と伝統に彩られています。
そんな世界の王室について知るには、ぜひ当サイトを参考になさってください。当サイトでは、世界各地の王室について詳しい情報を発信しています。この機会にぜひご覧ください。
世界の王室について詳しく知り、日々の暮らしをより豊かにしてみてはいかがでしょうか。