
1947年、ロンドンにあるウエストミンスター寺院で結婚式を挙げたエリザベス女王&フィリップ殿下。繊細なレースが美しいウエディング·ドレスは、ロンドン出身のデザイナー、ノーマン·ハートネルによって手掛けられました。
エリザベス王女とフィリップ王子が結婚した時代、イギリスでは第二次世界大戦後の緊縮政策がとられていました。
戦後2年が経っていましたが、イギリスはまだ戦禍から立ち直っておらず、国民の生活は大変厳しいものでした。ロイヤル·ファミリーも王女のウエディング·ドレスを買うために衣服の配給券を貯めるといった状況でした。お祝いのために王女に許可された追加の配給券は200枚です。しかし、それでは足りないと思った王室ファンの国民の中には、配給券を手紙で送る人もいました。もっとも、配給券の権利は譲渡できないため、それぞれに手紙を添えて送り返されたそうです。
配給券でウエディング·ドレスは完成し、素晴らしいアイボリーのシルクに10,000個の小粒パールが縫い付けられました。デザイナーを務めたノーマン·ハートネルは「自分がそれまでに作った中で最も美しいドレス」を作りたかったと述べています。
そして、彼の願いは見事に実現しました。布地は中国から輸入したシルクを使用しましたが、これは戦争の影響もあり、あえて日本、イタリア製の物を使わなかったのです。4mほどのトレーンにクリスタルやパールで「ジャスミン、クサナギカズラ、パラゴムノキ、バラのような花」の模様を縫いつけました。15世紀後半に描かれたボッティチェリの「春(プリマヴェーラ)」にインスパイアされたデザインです。イギリス王室のコレクションを管理するロイヤル·コレクション·トラストによれば、このドレスは戦後のイギリスにおいて「再生と成長」を象徴していたと語っています。靴は、エドワード·レイン氏による装飾つきのサテンのハイヒールでした。式に向かう途中でティアラが壊れ、お抱えジュエラーが飛んで来て直してくれた、というエピソードは有名な話です。この繊細で優美なドレスは、350人の女性が合計7週間かけて縫い上げました。「あの精巧なトレーンのついたドレスが、どれくらい美しかったかは忘れていました。
王女がどれだけ小さかったかも」と当時ドレスの製作に関わり、2007年に再びバッキンガム宮殿で展示されたドレスを見た、ベティ·フォスターさんは『テレグラフ』紙に語っています。また、当時の思い出を 「結婚式のお祝いからの帰り道、電車で誰もがあのドレスについて話していて、自分が関わったことをとても誇らしく思ったのを覚えています」と貴重な体験を語られました。2017年にエリザベス女王とフィリップ殿下はご成婚70周年のプラチナ婚を迎えられました。三人のご子息と一人のご息女の母親でもありながら、歴代国王の在位最長記録と長寿記録を更新中の正にスーパーウーマンです。父王ジョージ6世の亡き後、エリザベス女王は1952年に即位。それからお二人は長年にわたってイギリス国民と共に歩み続けています。