
アン王女は、エリザベス女王の長女でありチャールズ国王の妹です。プリンセス・ロイヤルの称号を持ち、イギリス王族の一員として今も活躍しています。
エリザベス女王の国葬では、王族の男性たちと肩を並べて軍服で行進する姿も注目を集めました。
この記事ではアン王女について、くわしく解説していきたいと思います。
アン王女ってどんな女性?

アン王女の人気は国内だけにとどまらず世界中で高く、多くの人々から愛されています。
イギリス王室で活躍する一人であり、多くの公務やチャリティーイベントに出席しています。英民間会社「リブート」が発表した2022年の「最も働いたロイヤルファミリー」ランキングでも、チャールズ国王を抑え1位となりました。200以上の公務に勤しんだといいます。
10代後半から公務をこなすようになり、かつては王立婦人海軍最高司令官を務めました。現在も国際オリンピック委員会の委員などを務めています。
チャリティーにも積極的であり、イギリスのNGO「セーブ・ザ・チルドレン」の会長職にも就いています。さまざまな慈善団体やNPO法人を設立しており、社会貢献活動にも力を注いでおり、イギリス王室で唯一、プライベートビジネスを手がける王族としても知られています。
大のラグビー好きでもあり、スコットランドラグビー協会のパトロンを務めています。
自然体で温かい性格であり、国民からも親しまれています。エリザベス女王が元首として治めた英連邦諸国でも人気が高く、各国の人々から愛されています。
エリザベス女王の愛娘
Embed from Getty Imagesエリザベス女王とフィリップ殿下の間には4人の子供がおり、アン王女は唯一の娘として愛されてきました。
アン王女は1950年8月15日に生まれ、エリザベス女王とフィリップ殿下の第2子長女となります。幼少期は親元で暮らしましたが、13歳からはロンドンから離れたケントにある女子寄宿学校ベネトンスクールで学びました。
父のフィリップ殿下は自身の性格に似ているとして、特にアン王女をかわいがっていたといわれています。はっきりした性格や運動神経がよく真面目なところ、少し皮肉屋なユーモアのセンスも気に入っていたそうです。
運転は少し荒いようで、過去4回のスピード違反で運転禁止や罰金を命じられたことも。また愛犬が子供たちを襲ってしまい、有罪を受けたこともありました。
母であるエリザベス女王とは親子というだけでなく、友人のような深い絆があったといいます。エリザベス女王が亡くなるまでサポートし、ひつぎを運ぶ際も付き添っていたといいます。
プリンセス・ロイヤルの称号を持つ
プリンセス・ロイヤルとは、イギリス国王の長女に与えられる称号です。女王や王位を継ぐ2番目に高い地位に当たります。
イギリス王室では、女王や王位の血を継ぐ王族は、王子や王女と呼ばれます。しかし、長女には特別にプリンセス・ロイヤルの称号が与えられ、生涯使うことが許されています。
次期プリンセス・ロイヤルとなるのは、チャールズ国王の長男ウィリアム王子とキャサリン妃の間に生まれた長女シャーロット王女となります。
特技は乗馬
Embed from Getty Imagesアン王女は馬術のトップアスリートです。21歳の時にヨーロッパ馬術選手権大会個人の部で優勝し、1971年のBBC・スポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー賞(総合馬術)を受賞しました。1976年のモントリオール五輪ではイギリス代表選手として出場を果たしています。過去には国際馬術連盟の会長も務めていました。
モントリオール五輪では、エリザベス女王の所有馬グッドウィルとともにレースに挑みましたが、落馬してしまいました。しかし脳震盪を起こしながら再び馬に乗って走りきったのです。王女は「落ちた後は覚えていない」とのちに語っています。
東京五輪を控えた2019年、オリンピック委員として東京都内の馬術会場にも視察に訪れています。このときはラグビーのワールドカップ観戦のため来日していたといいます。
着回し上手としても注目
アン王女は数十年も愛用しているイエローのコートに代表されるように、コート・ジャケット・スーツ・ワンピースなどを長年にわたり愛用しています。帽子や小物を上手に使って印象を変えており、古さを感じさせません。いつまでも変わらぬスレンダーな体型で着こなすこともできているのでしょう。
アン王女の夫は誰?

アン王女は2度の結婚を経験しています。1人目は、馬術団体のミュンヘン五輪金メダリストであるマーク・フィリップス陸軍少尉と1973年に結婚しました。
夫妻は1977年に長男ピーター、1981年に長女ザラの2人の子供を授かりました。エリザベス女王にとってピーターは初孫、ザラは初の孫娘となります。
王女の夫に爵位が与えられる先例もありましたが、アン王女が将来生まれる子を普通に育てたいと希望したことから、夫のフィリップスへの爵位は辞退したそうです。
夫婦は1992年に離婚。その約半年後、アン王女はティモシー・ローレンス海軍中佐と再婚しました。王族の離婚・再婚は話題となり世界中の注目を集めました。
イングランド国教会では当時、元配偶者が生きているうちに再婚することを禁じていたため、アン王女は世間からの批判にさらされました。そのため再婚に寛容であるスコットランドの教会で結婚式を行いました。
アン王女は初婚の前に、現在のカミラ王妃とのちに結婚することになる男性と交際していたこともありました。
アン王女の息子・娘は?

アン王女の息子と娘は「普通に育てたい」という理由から貴族の称号はありませんが、王室の行事に姿を見せることもあります。どんな人物なのでしょうか。
アン王女の息子
大学ではスポーツ科学を専攻し、イギリスの高級車メーカーであるジャガーに就職。F1のレーシングコンストラクターウィリアムズにも所属しました。その後はスコットランド王立銀行に勤務し、一時は香港支店で勤務していました。
2008年にカナダ人の経営コンサルタントであるオータム・ケリーとウィンザー城で結婚式を挙げました。夫婦の間には2人の娘が生まれましたが、2020年に離婚を発表しています。
祖父フィリップ殿下の葬儀ではチャールズ皇太子(当時)の息子であるウィリアム王子とヘンリー王子の間に立って行進し、注目を集めました。
アン王女の娘
母アン王女と同じく、イギリス代表の総合馬術の選手になりました。2006年にヨーロッパ総合馬術選手権で個人優勝。2012年のロンドン五輪では総合馬術団体で銀メダルに輝きました。その際、メダルを授与したのは母アン王女でした。
私生活では2011年に、ラグビー選手のマイク・ティンダルと結婚し、1男2女の母となりました。
アン王女が巻き込まれた事件とは?

1974年、アン王女は誘拐未遂事件に巻き込まれました。チャリティーイベントから夫フィリップスらとリムジンに乗ってバッキンガム宮殿へ帰っているときのことです。
1人の男が車で王女たちのリムジンの行く手を阻み、護衛官に発砲したのです。その場で銃撃戦となり、負傷者も出て現場は血だらけになりました。男は身代金200万ポンドを目的に王女を誘拐しようと車内の王女に「人質になれ」と迫りました。
しかし、王女は「とんでもない。私は車を降りない」などと言って、ドアを押さえて開けさせなかったといいます。男はその間に駆けつけた警備の警官に捕まりました。銃撃戦による負傷者が出ましたが、幸い命は助かりました。
軍服姿がかっこいいと話題になっている理由は?
Embed from Getty Imagesアン王女の軍服姿が話題になったのは2022年のエリザベス女王の国葬です。公務につく王族のドレスコードが軍服であったため、アン王女も軍服で女王のひつぎの後ろをチャールズ国王らきょうだい4人で並列して行進しました。
チャールズ国王の妻カミラ王妃やウィリアム王子の妻キャサリン妃は車に乗って見送りましたが、72歳のアン王女がなぜ軍服だったのでしょうか。
アン王女は陸軍の従軍経験があり、戦車の操縦を担当。イギリス海軍の女性部隊だった王立婦人海軍の最高司令官もかつて務め、現在では陸・海・空軍の将官に昇格しているイギリス軍人なのです。軍隊のサポート団体であるロイヤルブルーバッジの会員でもあります。
馬術のトップアスリートであり、2度の結婚で相手はいずれも軍人と王女自身も体育会系気質だといえそうです。
アン王女は2018年に行われた父フィリップ殿下の追悼式典でも軍服で出席しました。
エリザベス女王の国葬で見せたカーテシーも感動を呼んだ

エリザベス女王の最期をスコットランドのバルモラル城で見届けたアン王女。女王のひつぎが出発する際に見せたカーテシーが人々の感動を呼びました。
カーテシーとは?
カーテシーとは、女性が目上の相手への敬意を表すためのあいさつで、ヨーロッパやアメリカの伝統的な作法の一つです。片足を後ろに引いて、膝を軽く曲げます。
映画「魔女の宅急便」では、キキが依頼主の高齢女性に対し、去り際のあいさつにカーテシーでお辞儀した場面がありましたが、ご存じでしょうか。
キャサリン妃やメーガン妃も生前のエリザベス女王に対して、カーテシーをする様子が写真にとらえられています。シャーロット王女も母キャサリン妃を真似てカーテシーする姿がカメラにとらえられています。イギリス王室では5歳から身につけるといわれています。
エリザベス女王の棺の前で行われ話題に
アン王女は、母であるエリザベス女王のひつぎがバルモラル城から出発する際、カーテシーをして最大の敬意を表しました。背筋はピンと伸び、気高く美しいカーテシーとして世界中の話題になりました。
王家の情報について知りたいなら

アン王女を含むイギリス王室の情報については王室公式のインスタグラムがあります。実話に着想を得たとされるエリザベス女王の治世を描いた「ザ・クラウン」というドラマもあります。
アン王女は王族としての気品があふれる一方、馬術や軍隊で鍛えたたくましさも持ち合わせた魅力的な人物です。その意外な一面を知ることができたなら幸いです。